住まいの周辺環境からひもとく健康的な暮らし

こんにちは、歩き方コンサルタントの篠田洋江です。オンラインウォーキングスクールを運営しています。

高齢世帯や独居老人が増えている現代、大家さんからすれば高齢者の受け入れを慎重にせざる負えず、理由のひとつとして介護・認知症、孤独死という健康リスクがあげられるのではないでしょうか。

一方で在宅介護が推奨され老人ホームにも入れないという時代ですから、住む人にとっても人生100年時代をいかに健康に生きるかは大きな関心事項です。

今日は住む人、大家さん双方にお伝えしたい周辺環境からみた健康的な住まいについて特に認知症予防にフォーカスしてまとめていきたいと思います。

■認知症になりえるリスク要因

例えば糖尿病や脳卒中は中年期以降すべての年代において認知症リスクを高めると言われています。中年期にはおいては高血圧や脂質異常症、メタボもリスクとなりえますので、いわゆる生活習慣病は認知症のリスクを高めると考えてよいでしょう。

さて、これらの生活習慣病以外にも、リスクとして知っておきたいのは運動不足です

実は運動習慣がある人は認知症になるリスクが低くなるといわれており、「もし運動不足の割合が10%減少すれば全世界で38万人の認知症を予防できる可能性がある」といわれるほどです。また「認知症になってしまった方の13%が運動不足に関連するということで、運動不足は思った以上に人生に大きく影響することは明らかです

先にあげた生活習慣病の改善は、まさにウォーキングの効果としてよくあげられるものばかりですので、生活習慣病予防と運動不足解消にはウォーキングや散歩をまずは取り入れることはおすすめしたいところです。

※出典:厚生労働省「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」より

■環境 > 個人の努力という現実

運動不足を解消しよう!運動は体にいい!と思ってはいても、実際に外に出て歩いたり運動を習慣化できる人がどれほどいるでしょうか。糖尿病で医者に歩けと言われたから、という理由でしぶしぶ始める方も多いように切羽詰まった状態にならなければ人は行動を起こしません。

自助努力・意思・やる気・根気では人は行動をはじめにくく続けにくいものなのです。

しかし

  • 海の近くに引っ越してから、朝早く起きて海辺を散歩するのが日課になった
  • 近くの公園でラジオ体操グループがあり参加した。毎日ラジオ体操をするようになった
  • 誰とも会話しない日ばかりだったが、話やすい定員さんのいるお店を見つけてよく足を運ぶようになった
  • 駅までの道が歩きやすいので、天気が良い日はたまに歩いている

という例があるように、環境さえ整えば、人は自然と散歩をしたり体を動かしたりという健康的な生活へのシフトすることができます。

実際、認知症になりやすい街という経過調査では、

  • 健康的なスポーツの実施頻度は、公園の近くに暮らしている人で2割高い

という結果もでていますから、環境と運動習慣には密接な関係があるといっていいでしょう。

人生を変えたければ、人・時間・住まいの3つを変えるといいとは経営コンサルタントの大前研一さんの言葉ですが、まったくその通りなのかもしれません。

■社会的につながる

運動不足だけではなく、社会的つながりも認知症予防にはかかせません。認知症予防だけではなくフレイル予防(虚弱でいつ病気になってもおかしくない状態)の観点でも、健康的に生きるという観点でも社会的孤立を解消し人とつながることはとても有効です

例えば暮らしの中につながりをつくるならば

  • 個人店やいきつけのお店、ふらっと声をかけられるお店を近くにつくる
  • 住民同士、笑顔であいさつしあえる物件に住む
  • 趣味や習い事など家族や仕事以外のコミュニティをつくる

などがいいかもしれません。いきつけのスナックや個人のカフェ、ボランティアなど、つかずはなれずの気軽な関係や顔見知りをつくることができたら最高ですね。

前述の経過調査でも

  • スポーツや趣味の会などへの参加者ほど、要介護リスクや要介護認定、認知症を伴う要介護認定を受ける確率が低い

という結果がでているとおり、社会的なつながりは健康と関係があります。

退職後、隣人のことも街のことも知らずどう過ごしたらいいか分からない、居場所がないという声も聴きます。若くても独居で地域とつながりがない人も多いはずです。

趣味を見つけて仲間をつくったり行きつけのお店を見つけたり同じ物件に住む人と日頃からいい関係を築いておくことは、心身の健康はもとよりいざという時にも助けになるかもしれません。

■最後に

まとめると、天気の良い日に散歩したり、休日は趣味を楽しみ知人と語る・・・そんな暮らしが認知症予防はもとより、健やかに暮らせる街のひとつの指標になると言ってもいいかもしれません。

さらにいえば、団地やマンション、同じ大家さんや管理会社さんの物件単位で街らしき機能が兼ね備えられていれば最高だなとも思いますね。例えば隣近所であいさつしたり協力し合ったり犬の散歩仲間ができたりと。

実際、健康的なまちづくりの一環として社会的つながりを促すような団地再生の例もちらほらあり、時代はさらにミニマムな方向に向かうかもしれません。

ただこれは大家さんの力だけではなしえないもので、住む人の協力も必要です。住む人に健康的に暮らしてほしいと願う大家さんのもとに、志向に共感した住む人が集まり、互いのできる範囲でゆるやかにおだやかに暮らす…それこそ「住むだけで健康になる物件」といってもいいのかもしれません。

最後にご案内ですが、私共の物件価値を高める周辺環境リサーチでは、長年の健康業界に関わってきたからこその観点で街の魅力を発掘し物件の価値につなげています。また手描きマップなどを通じて社会的つながりもほんのりを促進したりもして。

仕事に邁進する方には休日リラックスせきる銭湯やスポーツ場の提案など。

少しでもピンときましたら、セミナーもしておりますのでサイトものぞいてみてください。

きっと何か新しいアピールポイントが見つかり、大家さんも住む人もイキイキ暮らすヒントが見つかると思います!



「認知症になりやすいまち」 のデータの詳細は音声でお届けしていますのでこちらをお聞きください。

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