のぼってくだってゆるやかに~高円寺編3~(まち歩きコラム)

こんにちは、歩き方コンサルタントの篠田洋江です。

週1回お届けしているまちコラム。本日は高円寺シリーズ3回目をお届けします。

【のぼってくだってゆるやかに~高円寺編3~】

「全力坂」という番組がある。東京の街にある坂をただ駆け上がるだけなのだが、ふだん着のまま無言で走る姿はとてもシュールだ。急坂もあればなだらかな坂もある。

何が言いたいかというと、坂をテーマにした番組があるくらい坂は魅力的だということ。

■高円寺は坂のある街

高円寺は意外とアップダウンがある街だ、と最近気がついた。よく歩くし何度も歩いてきたのに、あれ?ここ坂道じゃん、とやっと気がついた。そんなささやかな発見以来、好みの坂の近くを歩く時にはスマホのカメラを準備して、その日の坂を写真におさめるようになった。

例えば桃園川緑道からJR高円寺方面を見た時の、ちょっとアップダウンがありながらも最後はキュッと高くなっているのぼり坂は、まるで日本映画に出てくるような懐かしく昭和な暮らしを感じるいい坂で、朝や夕方にはドラマティックな雰囲気もあり歩く時の定番になった。ただ残念ながら私のカメラの腕ではまったく坂の具合や魅力が伝わらない、ご容赦!

東京メトロ丸の内線・新高円寺駅からJR方面に「高円寺ルック商店街」を歩きながら向かう時の坂もゆるやかにのぼったりくだったりだが、桃園川緑道の旧宝橋を境に「高円寺パル商店街」を見れば、さぁここからラストスパートだとばかりにのぼり坂が続くのが、クライマックス感があっていい。

■阿佐ヶ谷へ続く高架下

そんなわけで新高円寺駅から見れば、JR高円寺駅へ続く道はのぼり坂になっているのだが、駅を坂の頂点にして阿佐ヶ谷方面の高架下の道もなだらかな坂になっている。「高円寺純情商店街」のある駅の北側は平たんなのに・・っていうのが高円寺の起伏のおもしろいところ。

高円寺マシタからのやや殺風景な高架下を抜けると、倉庫や自転車置き場、しばらく止めっぱなしのような車やスプレーの落書きが目に入る。咳のひとつでもしたら豆粒のような向こうの人にまで聞こえそうなくらい静かで、人がいないのに誰かが見ているような、人がいるのにいないような怖さがあるような独特の高架下ワールドが広がる。そう、坂もいいが高架下もいいのだ、ビバ!

ちなみに1枚目の写真の坂を高架下側からみた写真。う~ん、伝わるか?!

■日常の楽しみは自分で見つけるのだ

前回取り上げた高円寺氷川神社の目の前は急坂で、高円寺にこんな急坂があるのかと驚くほどなのだが、ぐるりと歩くだけでなだらかな坂もあれば急坂もありの起伏がますます高円寺を歩く楽しみにつながっている。ところによっては、道そのものが斜めになっていて、左に傾きそうになる体をまっすぐにしながら歩くことも。高円寺の坂、楽しすぎる。

観光地や雑誌やネットでよく取り上げられるキャッチーで映える場所や施設にはお腹いっぱいになったら、こんな渋い名脇役のようなマニアックで偏愛じみた街の景色を探す散歩にでてはどうだろうか。日常の楽しみがまたひとつ増えるはずだ。

(つづく)



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