子どもにとって良い姿勢と体幹がもたらす効果は?

こんにちは、歩き方コンサルタントの篠田洋江です。

「良い姿勢が子どもに与える影響とは?」そもそも良い姿勢にどのような良い影響があるのか分からないこともあると思いますし、特に子どもにとってはどう影響するものなのか明確には分からないのではないでしょうか。

今回は、身体的な側面と精神的な側面の2つにわけて、子どもにとって良い姿勢がどのように影響するのかをつづってまいりましょう。

この内容は音声ブログvoicy、または下記の音声からもお聞き頂けます。

【身体的な側面】

●かけっこ、ダンスがうまくなるよ!

「姿勢が良いということはイコール背骨の状態がよい」と言い換えられます。良い背骨の状態とは、腰と首の部分がゆるやかに前側にそっていて、背中の部分が緩やかに後ろ側に膨らんでいるという「ゆるやかなS字カーブ」になっているものです。

この背骨の中には神経が通っています。脳からの信号・命令がこの神経を通って骨格筋という筋肉に伝わることで、手を動かしたり足を動かしたりができるわけです。

この神経の役割は筋肉を動かすことだけではありません。神経には運動神経・自律神経・知覚神経とあります。運動神経は先程のような筋肉を動かす神経であり、自律神経は、心臓や呼吸など意識しなくても動かし、知覚神経はおいしいものをおいしいと感じるという味覚や五感に通じます。

この神経の働きから、子どもたちには「かけっこが速くなるよ」「ダンスがうまくなるよ!」と伝えることがあります。姿勢がいい=背骨の状態がいい=神経の伝達がいいということですので。


●歯やかみ合わせへの影響

少し話は変わりますが、姿勢の影響として、歯やかみ合わせが挙げられます。姿勢が悪いとかみ合わせがうまくいきません。

例えば、イスに座って頭を前につきだしてみてください。この状態で上の歯と下の歯、うまくかみ合いますか?おそらく下の歯が奥に入り上の歯が前に出ると思います。つまりかみ合わせができません。当然、体に力を入れる時には歯を食いしばりますがそれができないので、力を入れることができません。もちろん、食べ物をかみ砕けないため、胃腸に負担をかけることもあるでしょう。

もちろん、姿勢だけが影響しているわけではありませんが、姿勢の原因のこともありますよ、ということでとらえて頂き、歯医者さんなどでご相談されると良いと思います。

【精神的な側面】

次に精神的な面についてです。こちらについては分かりやすい研究結果が出ておりますので、そちらも引用させて頂きながら話を進めていきます。※1

こちらの研究によれば、小中高・男女それぞれの子供たちに座位と立位の正しい姿勢で調査をしており、調査前提やプロセスなどの詳細はここでは割愛致しますが、以下の大きく3つにわけて結果がでています。

  • 学校生活の満足度
  • 学業への意欲
  • 自己抑制 (セルフコントロール)

●学校生活の満足度

結論から言いますと、 「中学校男女、高等学校男女共に、姿勢の良い生徒が学校生活に満足して生活しているという高い傾向があった」とのこと。学校生活の満足度とは「部活動への意欲」、「家族関係」、「教師との関係」、「学業への意欲」、「自己肯定感」、「友人関係」を指します。


●学業への意欲

中学校男女、高等学校男女共に「姿勢の良い生徒が学習に積極的で、学習を楽しいと感じている傾向がでた」ということです。


● 自己抑制 (セルフコントロール)

自己抑制とは、「嫌いなものでも我慢して食べる」、「飽きても宿題は最後までする」、「苦しいときでもじっと我慢する」ということを指します。これについて「 小学校の児童は、座位姿勢の良い児童は 自己抑制が高い傾向にある」というようです。


以上のことから分かるのは、身体面だけではなく精神面においても良い姿勢が影響するということであり、自己肯定感やセルフコントロールに影響するということでしょう。

私も子どもの姿勢講演で話していますが、身体という見えるものさえコントロールできないのに、見えない心や感情をコントロールすることはなおさら難しいもの。身体から自分をコントロールできるようになる、そういうプロセスだと思って姿勢を良くしてみませんか?とお話してしています。

良い姿勢というと、マナーや礼儀というイメージが強いかもしれませんが、もう少し広くとらえて頂き、自分の思うように身体を動かす、その最もシンプルな話ととらえて頂くと良いかともいます。

【姿勢と体幹】

体幹という話と絡めますと、今なかなか外にでれない中にあって体幹を鍛える方法として良い姿勢が役に立つと思います。

良い姿勢を維持するだけでも、体の姿勢を維持する筋肉がきたえられるもの。まさに最小の運動をしているといってもよいでしょう。ただ、姿勢だけやっていれば、ということではなく私としては体幹を鍛える運動を組み合わせることによって、飽きずにしかも自然に姿勢が良くなり、姿勢が良くなることで、運動もよりできるようになるという、いい流れが生まれると思っています。

では具体的に私が何をしているかというと、良い座り方や歩き。歩くことは体幹を使いますので。そしてケンケンパやケンケン競争もよく取り入れます。ケンケンはジャンプの連続ですので脚力もつき体幹も鍛えられるものです。

【最後に】

姿勢というとマナーや美しいという印象の側面で語られることも多いものですが、その裏にある身体的・精神的な良い影響を生かして、子どもたちがより元気に楽しく自分らしく人生を歩んでもらえたらいいなと思います。

以上、最後までお読み頂きありがとうございました。

もしご自分の姿勢や子どもの姿勢が気になったら、歩き方診断のサイトものぞいてみてくださいね。

<出典>
東京都教職員研修センター紀要 東京都教職員研修センター,2002- 1号(2002,3) 子供の体幹を鍛える研究~正しい姿勢のもたらす教育的効果の検証~

https://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/09seika/reports/
files/bulletin/h25/h25_08.pdf


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