見せるところより、見えないところ

姿勢と歩き方の専門家 篠田洋江です。

姿勢や歩き方というと、背筋を伸ばす、胸を張る、堂々と、颯爽と・・・など、外から見て分かりやすいところや印象の観点に目がいきがちです。

これらは姿勢や歩きを学ぶきっかけにもなりますから、そうしたことも大切です。

でも、私は姿勢や歩き方をお伝えする時、外からは見えにくいところにも目を向けていただくようにしています。

例えば、足の裏はその最たるものです。

◆地味だけれど大切なところ

立っているとき、足裏のどこに体重がのっているのか。

前後左右で体重のかかり方に違いはないか。

歩いているとき、どのように地面を感じているのか。

足の裏は、靴を履いていたらほとんど見えません。

ふだんから見て観察する機会も少ないでしょう。とても地味です(笑)。

でも、立っているときも歩いているときも、私たちは足裏で地面につながり体を支えています。

足裏は立つ・歩く・動く、そのすべてに関わる大切なところです。

講座で足裏の使い方、重心ののせ方についてお伝えすると、すぐに「はい、分かりました」「私はできています」という声をいただくことがあります。

ところが実際に確かめてみると、思っていたところに体重がのっていなかったり、左右のかかり方に違いがあったりと、ご本人の感覚と実際の状態が異なることも少なくありません。

自分ではできていると思っていても、実際にはそうなっていないことがある。

これは、きちんとやっていないという話ではありません。

自分の身体のことは、案外分からないものなんです。

◆知っていることと、できていることは違う

実は、私自身もいつもできているわけではありません。

私はハイアーチといって、土踏まずのアーチが高く、足裏の一部が地面につきにくい特徴があります。

だからこそ、足裏の感覚には意識を向けてきました。

身体の調子がいいと「今日もできているだろう」と思いやすいものです。でも改めて自分の足裏を確かめてみると、「あれ、思っていたほどついていないな」ということがあります。

知っているからできているとも、長くやっているから、いつもできているとも限らない。

これは、専門家である私も同じです。

だから私は、できているだろうと思うことほど、ときどき確かめ直すことを大切にしています。

◆間違い探しをするのではなく、今を確かめる

ここで大切なのは、できていないところを探して、あれこれ直そうとすることではありません。

「ここが悪い」

「ここを直さなきゃ」

と、自分の身体の間違い探しをする必要はないんです。

いつもやっているから、もう見なくなっているところ。

分かっているから、意識しなくなっているところ。

そこに、もう一度目を向けてみる。

今はどうだろう。

本当にそうなっているかな。

そうやって確かめると、思いがけない発見があるものです。

姿勢も、立ち方も、歩き方も同じです。

毎日やっていることだからこそ、「いつも通り」と思いやすい。

でも、身体の状態は日々変わります。

疲れている日もあれば、身体が硬く感じる日もある。

昨日できていたことが、今日もまったく同じようにできるとは限りません。

だから、姿勢や歩き方は、一度覚えたら終わりではありません。

ときどき自分の身体に意識を戻して、今の状態を確かめる。

その繰り返しだと思っています。

◆見えないところにも、目を向ける

姿勢や歩き方は、人からどう見えるかが気になるものです。

きれいに立てているか。

格好よく歩けているか。

確かに、人前に立つときには、そうした見せ方も必要です。

それは人からの印象をよくするためだけではなく、姿勢を整えることで、自分自身の気持ちが凛として、目の前のことに前向きに向き合えることもあるからです。

しかし、そうした姿勢や歩きを足元から支えているのが、外からは見えにくい足裏です。

派手でもないし、人が見て褒めてくれるようなところでもありません。

でも、毎日の立つこと、歩くこと、自由に動ける毎日を支えているところです。

今日、歩くときに、ほんの少しだけ靴の中の足裏に意識を向けてみてください。

どこで地面を感じているでしょうか。

右と左では、何か違いがあるでしょうか。

思っていた通りかもしれませんし、「あれ?」と思うかもしれません。

まずは、それを知ることから。

見せるところを整える前に、見えないところも確かめてみる。

そんな地味なことも、ぜひ大切にしてみてください。



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