住まい選びの優先順位はどう変化している?~暮らしやすさ決め手の時代か~

こんにちは、歩き方コンサルタントの篠田洋江です。

部屋探しをする際に、もっとも重要視していることは何ですか?家賃、会社までの通勤時間、間取りなどいろいろ希望はあると思いますが、どうしても外せない条件が3つあるとしたら何でしょうか。

特にこの数年、在宅ワークが進むなど働き方に変化が生まれたことにより、住まい選びにも変化が起こっているようです。本日は実際の調査データを引用しながら、これからの住まい探しについて一緒に考えていきましょう。

心地よく健やかに過ごせる街や地域、環境に意識は向かう

■重視するものが変わってきた?

「コロナ禍における「住まい選び」に関する意識調査」(株式会社すむたす 2020年6月実施)によると、新型コロナウイルスの影響により住まいへの考え方に変化が起きた人は516人中28.7%の148人、うち、「住まいを選ぶうえで重要視するもの」上位では、

  • 周辺環境(自然、治安、病院、スーパーなど)64.9%
  • 間取り (50.0%)
  • 広さ (38.5%)

となり、価格や通勤・通学による所要時間よりも、住み心地に意識が向いていることが分かります。在宅ワークが進み自宅で過ごす時間が長いからこその結果なのかもしれません。

全体、つまり 住まいへの考え方は今まで通りで変化が起きなかった人も含めた場合は、

  • 周辺環境(自然、治安、病院、スーパーなど)59.3%
  • 間取り(48.1%)
  • 価格(43.0%)

となっています。

この調査から分かるのは、

  • 「周辺環境」の良さと「間取り」は、部屋選びの最重要
  • 「通勤・通学による手段や所要時間」や「最寄り駅からの所要時間」には特に大きな変化がある

ということです。

■東京離脱のリアル

少し話がそれますが、「地方移住をする人が増えている!」という情報も良く見かけます。しかし全体を見ると、私たちが考えている地方移住とは少しイメージが違うようです。

確かに「東京都は1月1日時点の推計人口が1398万8129人で、昨年同期から4万8592人減ったと発表した。都の人口が通年で減少したのは、1996年以来、26年ぶりだ。」であり、東京一極集中の時代の転換期ともいえる人々の動きが大きく変わる潮目を感じたのは私だけではないはずです。

しかし、かといって地方移住もそう簡単なものじゃない。ステイホームが解かれるにつれ在宅ワーク100%だけでなく在宅+通勤のハイブリッド勤務というパターンも多く、また子どもの成長を考えると地方にいってなじめるか暮らしていけるかなどの心配もあったり、地方で仕事を見つけ生活をしていけるかというのもあります。

よって、特にファミリー層において埼玉・神奈川・千葉という関東近県と区外の多摩地区などに住み替える人が多くなっています。これは先の周辺環境の良さと間取りの優先順位が高いこと、通勤・通学による手段や所要時間の優先順位が下がったことによる選択ということもありますし、東京のマンション価格がかなり高騰していることも大きく響いているはずです。

単身者にはデュアルライフといわれる二拠点生活やワーケーションが人気という面もあります。

ちなみに、そもそも地方から東京圏に流入した人が東京に移住することを選択した背景として「仕事」「進学」、そして女性を中心に「利便性」や「娯楽」「閉塞感」などと回答する人も一定数存在(2021年3月国土交通省)とのことで、単身者も「在宅ワークが増えたから地方移住できる」という明快な流れにはなりがたい面もあるのかもしれません。

■まちを調査してきた篠田の目からみて

今回の調査は2020年に行われたもので2022年現在、人々の住まいに対する考え方にはさらに変化している可能性もあります。個人的には

  • いかに自分の住まいで快適に過ごせるか、住まいの中と身近な周辺環境の充実
  • 仕事>プライベート から 「仕事=プライベート」「仕事<プライベート」

という流れは今も続いていると感じています。

さらに心と体をゆるめられる自然があることや、ふだんからゆるやかに地域とつながれるかなど気の合う街に住むことで、日々の心と体の健やかさにつながることは確かです。

郊外だけが選択肢というわけではありません。東京23区内にも緑や公園は思いの外多いもので、心と体をリフレッシュできる環境はたくさんあります。また設備がいい、効率的、新築という条件だけではなく、あなたのライフスタイルや価値観にあわせて少々築年数がたっていても、効率的でなくても、古民家でもそれを楽しめるのならばそれでいい

住まい選びの考え方はひとそれぞれです。自分が、家族が、大切な人が、心と体を健やかに日々を送るためによりよい人生を送るために、自分なりの良い物件にであえることを祈ります。

また、住みたい部屋の周辺環境について実際に足で調べてオンラインで調査報告と住まい選びのご相談をうかがう周辺環境リサーチもご活用頂くことで、物件に住んだあとのシュミレーションもできます。ぜひ女性の方は無料オンラインセミナーもありますので、サイトものぞいてみてくださいね。

<出典>

●コロナ禍における「住まい選び」に関する意識調査

【調査概要】

  • 調査方法:インターネットによる全国調査
  • 調査期間:2020年6月8日~6月15日
  • 調査対象:20代~60代の男女516名
  • 調査:株式会社すむたす


● 東京の人口1398万人、26年ぶり減少 コロナによる転出増が影響(2022年2月掲載)

朝日新聞デジタル版

● 企業等の東京一極集中に関する懇談会

国土交通省


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