組織の判断軸と、コミュニケーションの土台を育てます

◆組織の中で、起きている違和感
組織の中で、決めているはずなのに、決まっていない感覚がある。
それでも、判断を止めるわけにはいかない。
以前は、もっと自由に決められていたはずなのに。
発言も、迷いなくできていたはずなのに。
今は、一つ決めるたびに、周囲の顔色を見ている。
あまりに多くのことを考えすぎて、言葉が出てこない。
「これでいこう」と言ったあとに、本当にこれでよかったのか、と自分に説明している。
以前よりも、判断に時間がかかる。
決めたあとに、説明が増える。
決まったはずのことが、次の場面でまた揺れる。
大きなトラブルが起きているわけではない。
誰かが明確に間違っているわけでもない。
それでも、このままでいいとも思えない。
この感覚を抱えたまま、判断を続けている組織は少なくありません。
◆会議では、何が起きているか
会議では、意見は出ている。
誰も黙っているわけではない。
「一般的にはこうだと思う」
「以前、こんな事例があった」
「個人的には、こちらの方がいい気がする」
それぞれが、何かは言っている。
ただ、誰が決めるのかは、はっきりしない。
話し合いが一通り終わったあと、最後は社長が、空気を見ながらまとめる。
決まってはいる。
けれど、誰の判断だったのかは残らない。
責任の所在が曖昧なまま、次の会議へ進んでいく。
◆私が見てきたこと
私は、こうした場面を「改善すべき問題」として扱ってきたわけではありません。
20年以上、のべ2万人以上の身体と向き合いながら、判断を背負う人の立ち位置を見続けてきました。
判断を背負う人が、どこで、どんな立ち方をしているのか。
どんな瞬間に、判断と佇まいが食い違い始めるのか。
その一点を、観察してきました。
言葉が増えるとき。
説明が必要以上に重なるとき。
誰も間違っていないのに、決めた感覚だけが残らないとき。
そこには、能力でも意欲でもない、
「立ち位置」のズレがあります。
そして私は、そのズレを「足りなさ」だとは見ていません。
正解のない判断を何度も引き受けてきた人が、
ある地点で必ず通る場所だと感じています。
そのズレは、判断を背負ってきた人にしか生まれません。
◆声を張らなくても、場が整っていく人
前に出て強く指示をしなくても、
その人がいるだけで、場の空気が落ち着いていく人がいます。
声を張らなくても、正解を押し付けなくても、
判断の基準が自然と揃っていく。
意見を封じるわけではない。
調整に回り続けるわけでもない。
それでも、誰がどこに立って判断を引き受けているのかが、説明しなくても伝わっている。
そうした人が組織の軸として立っているとき、
コミュニケーションは無理に整えなくても静まっていきます。
決めたあとに、揺れなくなる。
◆この場で行っていること
ここで行っているのは、話し方やコミュニケーションスキルの指導ではありません。
正解の型は、教えません。
リーダー像も押し付けません。
言葉だけでなく、
・会議中の立ち位置
・話す前後の「間」
・判断を下すときの身体の状態
そうしたものも含めて、今どこに立って判断しているのかを一緒に見ていきます。
必要であれば、立ち方や歩き方といった身体の使い方を扱うこともあります。
ただし、それが目的ではありません。
判断が自然に伝わる状態をつくること。
それが、この関わりの中心です。
◆判断軸が立つと起きること
判断の軸が立つと、会議は必要以上に長引かなくなります。
説明は減り、決めたことが揺れにくくなります。
これは理想論ではありません。
「誰がどこに立っているか」が明確になると、
組織の空気は自然と整っていきます。
◆最初の関わりについて
最初の関わりは、分析や診断の場ではありません。
「ここが悪い」
「ここを改善すべき」
と指摘することはしません。
その場で答えを出すことも、決断を迫ることもありません。
まずは、経営者・判断を担う方と90分の対話の時間を設けています。
組織を整える前に、いまの立ち位置を一緒に確認する時間です。
この時間の中で、
「決めているフリをしていたかもしれない」
という感覚が残ることがあります。
それは弱さではありません。
判断を引き受けてきた人にしか出てこない感覚です。
それで十分です。
そこまで背負ってきた判断が、軽いはずはないからです。
◆この関わりが向いている組織
この関わりは、
・少人数で、専門性を軸に事業をしている組織
・創業者、あるいは判断を一手に引き受けてきた立場の方
・声や勢いではなく、基準で組織を整えたい方
のためのものです。
一方で、
・すぐに使えるノウハウ
・明確な正解
・即効性のある解決策
を求めている場合には、向いていません。
私は、決断を他人に委ねたい方とは関わりません。
自分で引き受けると決めた方と、向き合います。
◆さいごに
組織は、「何を言うか」よりも「誰が、どう立っているか」に影響されます。
判断軸が揃うと、コミュニケーションは無理に整えなくても落ち着いていきます。
不安が消えるわけではありません。
決めたあとの不安は、変わらない。
それでも、自分の立ち位置から判断できている。
その感覚が戻ると、組織は静かに、しかし確実に前へ進みます。
判断を引き受けてきた人は、孤独ではありません。
◆ご案内
すぐに動く必要はありません。
ただ「このままの立ち位置で判断を続けるのは違う」と感じているなら、
一度、対話の時間を取りましょう。
90分、経営者・判断を担う方と向き合います。
整えるのは、そこからです。

